オリジナル曲「Science(サイエンス)」について


   
@曲を作った経緯

    この曲の題名(仮称)は、実は最初、
「脳内革命」でした。

    「脳内革命」と言えば、10年以上前にベストセラーとなった本の題名です。(内容は詳しく知りませんが)
    電車内の広告でこの四文字熟語を見た時、私の頭の中である閃きが走りました。

    
「電子音で脳内をかき混ぜ、アドレナリンを出しまくり、脳を覚醒させるような曲を作りたい!」と。


    また、私はテクノに、ロック・ファンクを融合させた曲を作ってみたい、と常々思っていたので、
   まずファンクっぽいドラム&ベースを作り、その上にあらん限りの電子音を詰め込んだ結果、ああいう曲になりました。

    歌詞が未完成だった事もあり、この曲は一度も人に聴かせる事なく消滅するはずだったのですが、
   Vocaloidとの出会いによって完成に至り、日の目を見るようになったのでした。



   
A歌詞・テーマについて

    
この曲は電子音が鳴りまくってる事もあり、テクノっぽい、SF的な歌詞にしよう、と思いました。
    また、私はこの曲を作った当時、理工学部(電子工学科)の学生だったのですが、「理系=暗い・地味」のイメージを払拭したい、
   と考えていました。
    なぜなら、私が今まで見てきたSF映画の世界は、どれも
斬新で、スタイリッシュで、未来への希望=可能性に満ち溢れていたからです。
   そういうイメージ、「科学の素晴らしさ」を曲の中で表現したかったのです。

    そして、科学とは、
真実を追求する学問でもあります。
    人類は科学の力により、自然界の生存競争に打ち勝ち、豊かな生活を築き、ここまで発展してきました。
   その過程においては、研究成果に報われず、焦りと孤独に耐え抜く日々もあったでしょう。

   決してごまかしのきかない険しい道、しかし人類が進化するための希望の道、それが科学(サイエンス)です。



   この曲では、上記のような事を踏まえ、
IT・SF・科学を連想させる言葉を、たくさんメロディに詰め込みました。


    ・最初に思いついたフレーズ…  煌ゆく宇宙(そら) 世界を巡る 生命の軌道に
 
    ・どうしても使いたかった言葉… 
電脳理想郷(コンピュートピア)、メビウスの輪、数億回の計算
 
    
連想したSF映画 「2001年宇宙の旅」(夢を忘れた子供=moon child、人類の新しい夜明け)
                  
「ブレードランナー」(人工知能、サイバーパンクといえばこの映画)
                  
「マトリックス」(電脳世界)

    
各サビのテーマ…  1番 「生命工学」   プラス・マイナスの遺伝子=電子、♂と♀ 
                  
2番 「物理学」    チカラ=新たに発見される力(万有引力、分子間力など)、新たな勢力
                  
3番 「数学」      答えを解き明かす=方程式を解く、瞬間(とき) 
                 
 4番 「コンピュータ工学」 二つの数字=0と1=♂と♀、数億回の計算=ギガヘルツ


   
   
そして、歌詞が一番最後まで決まらず、悩んだ箇所、それはCybernetics(電脳工学)でした。

   この言葉には以下のような意味があります。
 (※http://www.sophia-it.com/content/cyberneticsより転載)

    サイバネティクスとは、機械の自動制御や動物の神経系機能の類似性や関連性をテーマに研究する、心理学、生物学、物理学、数学等を
   包括した科学の総称である。
    アメリカの情報理論の大家であるノーバート・ウィーナー(Norbert Wiener)が、1948年に初めて発表したサイバネティクス理論は、
   生物と機械の間に情報のやりとりやコントロールの仕組みなどに関する類似性があることに着目し、自然から人工機構まで含めた
   多種多様な学問領域が協同して取り組む新しい研究課題への道を切り開いた。

    この理論は、電子技術の発展過程で登場したコンピュータ技術の応用とも結びついて、今日、各種の情報システムやロボット技術などの
   実用化に貢献している。

    さらに、経済活動を生き物としてとらえ、市場メカニズムの問題をサイバネティクスの視点から研究している人もいる。

 

    Cyberneticsの実際の読みは「サイバネティクス」ですが、 「サイバー」なら一般的に知れ渡っており、聴いた時に
   一発で理解しやすい言葉なので、敢えて「サイバーネティクス」と歌わせてます。


    人間の声と科学から生み出されたVocaloidが歌ってる事もあり、Cyberneticsが、この曲を一番象徴している言葉じゃないか、と思います。



  
 Bボーカルについて

    実はこの曲、最初リン・レンに歌わせようと思っていました。歌詞のテーマで、「対となる♂♀」があるので。
   しかし、実際に歌ってもらった時、キーがリン・レンのベスト音域よりも低く、またAメロの大人っぽい雰囲気が合わなかったので、
   代わりにKAITOに歌わせてみたら、予想以上にしっくり来ました。

    ご存知だと思いますが、この曲ではKAITOの声質を大胆に変えています。
   この曲を制作する前、KAITOにロックを歌わせる上で一番足りないもの、それは
「大人の色気」である事に気付きました。
    その理想に近い声質を作るため、試行錯誤した結果、あのような声になりました。

    また、メインボーカルがKAITOなので、コーラスは一番声質が似てるミクにしました。
   曲のテーマが「未来」でもあるので、
存在自体がSF的な初音ミクは、この曲のイメージにピッタリでした。
    ちなみに、ミクは、3度上、5度上、オクターブ上でハモっているので、聴こえにくい人は主旋律よりも高音部を探すと
   分かりやすいかもしれません。



   
Cギター、ピアノについて

    この曲のギターアレンジは、頭の中で弾くのを想像しながら打ち込みで作り、後から実際にギターで弾きました。

    イントロと間奏のギターは
オクターブ奏法です。(1オクターブ離れた2つの音を抑えながら、スライドする奏法)
    「科学の持つエネルギー」を表現するには、小手先のメロディではなく、オクターブ奏法による力強く、粘り強いフレーズが
   最適だと考えました。

    Aメロのギターはカッティングですが、機械のようにリズムに対してジャストで弾いてみたら、何故かノリが悪かったです。
   ボーカルを聴きながら、リズムの合間を縫うように弾いたらしっくり来ました。
    どうやら人間的なリズムというか、微妙にずらして弾いた方が、グルーブ感が出るみたいですね。

    あと、この曲に
元々ピアノは入っていませんでした。
    間奏を作る際、イントロのギターフレーズの上にギターソロを乗せてみたのですが、あまり音的に面白くなかったので、
   ピアノに変えてみたところ、実にしっくり来ました。
    テクノなのにピアノを入れるのはどうなの?とも最初思いましたが、本来無機質であるはずのテクノに、熱い激しいギターの音と、
   清涼感あふれるピアノの音がミックスされて、面白い曲になったのではないか、と思います。
   


   
D最後に

    元々電子音(ファミコン音源)から音楽に興味を持ち始め、後からギターを始めた自分にとって、この曲は象徴的な存在です。
   そして、この曲を全ての科学者、理系の学生に捧げます。
    科学の持つロマン・素晴らしさを忘れず、その力を正しい方向に、人々のために役立てていって下さい。

    いずれ科学(サイエンス)が、宇宙への旅や人工知能を可能にし、人類を次のステップに導いてくれると信じて。




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